写真展の会場の机に並べた写真集(イメージ)
イメージ(AI生成)。実際の制作例ではありません

この記事の要点

写真を撮った人の権利と、写っている人や作品の権利は分けて確認します。写真を持っていることや無料で配ることだけでは判断せず、使う写真と用途を示して必要な許可を得ましょう。

写真の著作権は原則として撮影した人に生まれる

創作的な表現に当たる写真の著作権は、原則として撮った人に生まれます。出版や登録が発生の条件ではありません。スマートフォンの写真も、著作物の定義を満たせば対象です。写真を持っている人、写真に写っている人と、撮影者を区別して確認します。

自分で撮った写真でも、権利を譲った契約などがあれば、その条件を確かめます。また、自分に写真の著作権があることだけで、写っている人物や作品の問題まで解決するわけではありません。掲載する写真ごとに、撮影者と被写体の両方を確認しましょう。

基本的な説明は、日本写真家協会「写真著作権と肖像権」と文化庁『著作権テキスト』にあります。本記事は日本での出版に向けた一般的な確認点で、個別の掲載可否を判断するものではありません。出典の確認日は2026年9月25日です。

保護期間は原則死後70年だが古い写真は個別に調べる

著作権の保護期間は原則として著作者の死後70年で、死亡した年の翌年から数えます。文化庁の説明では、原則の計算は死亡年に70年を加えた年の末までです。ただし、無名・変名や団体名義など、別の扱いがあるため、撮影年だけでは判断できません。

写真は過去に保護期間の制度が変わっています。文化庁のテキストにも、公表後の期間を基準にした時期と、死後の期間を基準にする制度への改正が示されています。古い写真を、すべて現在の原則だけで計算しないようにします。

また、一度保護が終わった著作物の権利を、期間延長で復活させる措置は取られていません。文化庁の保護期間延長Q&Aを参考に、撮影者、公表の状況、過去の法改正を調べます。年代や権利者が分からない写真は、自己判断で自由に使えるものとせず、専門家へ確認してください。

家族や故人の写真は撮影者と権利を受け継いだ人を確認する

家族のアルバムでも、すべてを同じ人が撮ったとは限りません。家族本人が撮影したもの、知人からもらったもの、写真館で撮ったものを分けます。プリントやデータを所有していることと、写真の著作権を持つことは同じではありません。

家族が撮った写真を使うなら、写真集に載せる範囲を本人に説明します。故人が撮影した写真では、著作権を相続などで受け継いだ人や、以前の契約を確認します。「遺品を預かっているから」「家族のための本だから」という理由だけで、掲載を決めないようにしましょう。

たとえば遺作写真集では、写真の一覧に撮影者、入手元、権利確認の相手、確認済みの用途を記録します。返答がないことを許可とは扱いません。家族内の贈呈から一般販売へ変える場合は、その使い方まで了解を得ているかを見直します。

他人の写真を使うときは用途と加工を示して許諾を得る

他人の写真の掲載は、原則として権利者の許諾を得ます。撮影者名や出典を書くだけで、転載が自由になるわけではありません。ネットで見つけた写真、購入したプリント、撮影を依頼して受け取った写真も、契約や利用条件を確認します。

許諾の確認項目伝える内容の例
対象の写真ファイル名や見本で写真を特定する
使う場所本文、表紙、案内状、販売ページを分ける
配布の範囲部数、贈呈か販売か、増刷の予定を伝える
加工と表示切り取り、色調整、文字の重ね方、撮影者名を確認する
条件の記録許可した相手、日付、使用料、合意した範囲を残す

引用には、公表済みであること、公正な慣行、目的に照らした正当な範囲、出所の明示などの条件があります。鑑賞を目的に他人の写真を並べる使い方を、出典付きの引用と決めつけないでください。批評のために使いたい場合も、必要性と掲載範囲を個別に確認します。

写っている人には写真集での公開を説明して許可を取る

肖像権は、自己の氏名や姿をみだりに公開されない権利として説明されます。文化庁のテキストは、日本では肖像権を定めた法律の明文はなく、判例によって確立された権利としています。撮影場所や公開の目的などで判断が異なるため、「外で撮ったから使える」と一律にはいえません。

本人に、使う写真、説明文、販売や配布の範囲を見せて許可を取り、その内容を残します。撮影への同意と、本への掲載や宣伝への利用は分けて伝えます。子どもの場合は、保護者への確認に加え、本人にも理解できる言葉で説明し、嫌がる写真を無理に載せない配慮をします。

通行人が写った写真も、顔が小さいことだけで判断しません。個人が分かるか、どんな場面か、説明文が何を伝えるかを見ます。確認が難しい場合は写真の変更や構図の見直しを検討します。著名人では、肖像の集客力に関わるパブリシティ権も問題になり得るため、本人や管理先へ相談してください。

建物・美術作品・キャラクターは写り方と用途を確認する

写真の背景に他人の作品が入る場合、いわゆる写り込みの規定で利用できることがあります。ただし、付随的な対象か、利用が正当な範囲かなどの条件があります。小さく写せば自由、偶然ならすべて問題ない、といった判断は避けましょう。

建築物や屋外に恒常的に設置された美術作品には、著作権法第46条の規定があります。一方、美術作品の複製物を販売することを専ら目的にする場合など、除かれる使い方もあります。屋外彫刻だけを主役とした販売用写真集などは、条文があるから大丈夫と決めず、用途を具体的に確認します。

美術館内の作品や、キャラクターのグッズを主役にした写真も、撮影できたことだけで出版への利用が認められるとは限りません。著作権法と文化庁の説明を基に、作品の権利と施設の撮影・利用条件を確認してください。

AI生成画像も既存作品との関係と利用条件を確認する

文化庁のテキストは、AIで生成した画像を利用する場合も、通常と同様に既存作品との類似性や依拠性で著作権侵害を判断すると説明しています。依拠性とは、既存の作品に基づいて作られたかという関係です。生成できたことだけで、写真集への掲載や販売まで自由とは判断できません。

また、AI生成物に著作物性が認められるかは、人の創作的な関与などによって判断されます。自分が指示を入力しただけで、常に自分の著作権が生まれるとはいえません。利用サービスの条件、既存の作品に似た表現、人物の扱いを確かめ、生成や修正の記録を残します。

実際に撮った写真と混同させないよう、掲載する場合はAIで作った画像であることを読者へ伝えます。掲載の可否に迷う写真や生成画像は、使用箇所と目的をまとめて、著作権などに詳しい専門家に相談しましょう。

出典・参考

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