
この記事の要点
書店で注文できることと、店頭に並ぶことは別です。流通コースの部数や費用を確認し、写真展では見本・釣り銭・案内を用意します。販売部数や収入を保証する仕組みではないため、無理のない計画を立てましょう。
販売方法は読者がどこで本に出会うかで選ぶ
写真集を販売するなら、まず誰に買ってもらいたいかを考えます。写真展を訪れた人へ直接渡す方法、遠方の知人がオンライン書店で注文する方法、一般書店を通じて届ける方法では、準備する在庫や案内が違います。
書店で注文できる状態と、店頭に本が並ぶ状態は同じではありません。Amazonでの販売も、一般書店への配本とは分けて考えます。店頭に置く場合も、どの店に何冊、どの期間置くかが一律に決まるわけではないため、コースの内容を依頼先に確認してください。
会場販売と書店流通を併用したい場合は、会場へ持ち込む分と流通用の在庫を分けます。完成後に急に販売方法を変えると、在庫や登録の準備が必要になることがあります。部数の計画と一緒に、見積もりの段階で相談しましょう。
ISBNは本を識別する番号で、販売の保証ではない
ISBNは、出版物を識別するための番号です。日本では日本図書コード管理センターが割り当てと管理を行っています。書店流通を出版社へ依頼する場合は、発行元と番号を付ける手続きを確認します。お手軽出版で発行する本は、発行元ブイツーソリューションの出版者記号を使います。
自分が発行者として取得することもできますが、ISBNを取ることだけで書店との取引や在庫管理まで整うわけではありません。日本図書コード管理センターの手引きは、販売品・非売品を問わず広く頒布する出版物を対象とし、一般向けに流通しない個人仕様の出版物などを対象外としています。
家族だけの記念アルバムにも必ず付けるもの、と考えず、作る本と届け方に応じて確認します。ISBNの付与は本の内容の評価や販売部数を保証する制度ではありません。会場で自分が販売する場合も、まずは受注、代金、在庫の扱いを整えます。
流通コースごとの最少部数とページ数を確認する
お手軽出版の公開条件は次のとおりです。確認日は2026年9月25日です。表はコースの違いを見るためのもので、制作総部数と著者への納品部数は見積もりで別に確認します。
| コース | 最少部数 |
|---|---|
| 委託配本(書店の店頭に並ぶ) | 400部から |
| 注文のみ対応(書店で注文できる) | 200部から |
| Amazonのみで販売 | 10部から |
| 流通なし(配る・手元に置く) | 10部から |
委託配本は、販売を委ねて書店へ本を配る方法です。注文のみ対応は、店頭に常備されることを意味しません。取り扱いの範囲、注文への対応、在庫の保管、返品、契約終了後の扱いを確認してください。コースを選べば予定した冊数が売れるとは限りません。
ページ数については「流通させる場合のページ数の目安: 絵本・写真集(ハードカバー)は24ページ以上、文芸書は120ページ以上。流通しないなら自由」という同社の案内があります。写真集の記載はハードカバーの目安です。ソフトカバーも同じ条件だと決めず、予定の仕様を見せて相談します。また「流通しないなら自由」は制作可能な最少ページ数の制約までなくなる意味ではありません。制作条件は「最少16ページ・10部から(10部単位。オフセット印刷は30部から)」です。
定価は内容と買う人、流通後の受取額を見て決める
定価は、制作費を部数で割った金額だけでは決められません。写真の内容、判型、ページ数、紙、製本と、想定する読者を合わせて考えます。贈呈分や見本は販売収入にならないため、制作したすべての本の売上を見込まないようにします。
お手軽出版の定価に関する案内は「定価は税抜き400円以上(委託配本は500円以上)。カラーやハードカバーの本は+100〜500円程度が目安」です。これは同社の条件と目安で、どの写真集にも適した推奨価格という意味ではありません。実際の定価と税の表示を担当者と決め、案内状や会場の値札でも表記を揃えましょう。
同社の印税の案内は「6ヶ月ごとに実売部数×定価の50%を支払い(5,000円未満は次回に繰り越し)」です。実売は、実際に売れた部数を指します。制作部数や書店へ預けた冊数とは区別します。会場で著者が直接販売する分と、出版社を通じて精算する分の扱いも、契約時に確認してください。
写真展では見本・釣り銭・芳名帳と案内を用意する
会場販売は、写真を見た人へ本の内容を説明できる機会です。まず主催者へ販売の可否を確認し、販売場所、手数料の有無、搬入と残部の持ち帰りを相談します。展示を見ている人が本も手に取れるように、見本と販売用の在庫を分けて置きます。
| 準備するもの | 確認すること |
|---|---|
| 見本と値札 | 自由にめくれる本と、支払う金額を示す |
| 釣り銭と会計用品 | 対応できる支払い方法と担当者を決める |
| 袋・梱包材 | 本の角を傷めず持ち帰れるようにする |
| 在庫と販売の記録 | 搬入、販売、贈呈、持ち帰りを区別する |
| 芳名帳 | 記入は任意とし、連絡先の利用目的を伝える |
| 案内状・購入案内 | 書名、著者名、購入窓口を揃える |
芳名帳に記入してもらっただけで、後日の販売案内まで希望されたとは考えないようにします。次の展示などの連絡を希望するかは、分かる形で尋ねます。案内状には、会場での本の販売予定を添え、来場できない人向けの購入先も、準備が整ってから案内します。
完成後の登録と在庫を確認して販売を知らせる
お手軽出版は「完成から約1ヶ月で全国の書店・オンライン書店のデータベースに反映」と案内しています。完成日にどの書店からも注文できるとは告知せず、販売ページや注文窓口を確認してから知らせます。写真展の日程がある場合は、制作の流れの相談に登録の予定も含めてください。
また、同社の案内は「流通の保障期間は初版発行後2年」です。流通の保障期間は、販売冊数や収入の保証ではありません。終了後の継続、在庫の引き取り、費用の扱いを確認し、売れ残る可能性も含めて予算を立てます。
写真集を見てもらう機会を作ることと、販売結果は分けて考えます。購入希望への返答や在庫の記録を続け、無理なく対応できる窓口を維持しましょう。図書館などへ届けたい分は、販売計画とは別に寄贈の相談を進めます。