
この記事の要点
写真の配置は、本の大きさと綴じ方を決めてから考えます。端まで使う写真には塗り足しを用意し、顔や文字は端とノドを避けます。代表的な紙面を作り、同じルールで全体を整えましょう。
裁ち落としには仕上がりの外側に塗り足しを用意する
裁ち落としとは、写真を紙の端まで印刷する見せ方です。本は印刷後に周囲を切って仕上げるため、写真を仕上がり線ぴったりで止めると、断裁のわずかなずれで白い縁が出ることがあります。そのずれに備え、外側まで画像を延ばす部分を塗り足しと呼びます。
一般的な例は各辺に3mmの塗り足しを設ける方法です。上下左右に加えるので、データの幅と高さは仕上がり寸法よりそれぞれ6mm大きくなります。ただし、必要な寸法やデータの作り方は依頼先の指定を優先してください。お手軽出版の画集の作り方にも塗り足しの説明があります。
塗り足しは切り落とされる可能性がある部分です。顔、花の先端、建物の屋根など、残したいものをそこへ置きません。写真を引き延ばして形を変えず、周囲を切り取るトリミングで構図を調整します。元画像の周囲に余裕がない場合は、裁ち落としにせず余白を付ける方法もあります。
余白は写真の比率と本を開いたときの見え方で決める
余白は、写真と紙の端の間に残す空間です。写真を落ち着いて見せたり、縦横比を変えずに収めたりできます。すべての写真を紙いっぱいにしなくても、余白の広さや写真の下端を揃えると、ページをめくったときのまとまりが生まれます。
まず本の大きさである判型を決め、縦位置と横位置の代表写真を置いてみます。横長の写真を縦長のページに収めるなら、上下の余白を活かす案と、左右を切り取る案を比べます。どちらが主題を伝えられるかを、実際に使う写真で判断してください。
上・下・外側・綴じ側の余白を、必ず同じ幅にする必要はありません。写真の下に説明文を入れるなら、その場所も確保します。画面上では十分に見えても、本では小さく感じることがあります。原寸で紙に出し、手に持つ距離で確かめると判断しやすくなります。
ノドには顔や文字など大事なものを置かない
ノドは本の綴じ側で、見開きの中央に当たります。開いたときに段差や影ができ、写真の一部が見えにくくなります。お手軽出版も「見開きの中央は本のノド(綴じ目)になり見にくくなるので、画像の大事な部分をかけない」と案内しています。
たとえば山並みを見開きいっぱいに使う場合、主役の山頂が中央へ来ない構図を試します。人物の顔、動物の目、列車の先頭、水平線上の目印なども、中央で分断されないかを見ます。画面上で左右がつながっていても、製本後に同じように見えるとは限りません。
ノドからどれほど離すかは、製本やページ数によって変わります。判型と製本を決め、依頼先に安全な配置範囲を確認しましょう。開きやすい製本を選んでも、中央へ重要なものを置く前提にはせず、似た仕様の本で見え方を確かめます。
1ページ1枚・複数枚・見開きを役割で使い分ける
紙面のパターンを少数に絞ると、写真ごとの違いが伝わりやすくなります。次は配置を考えるための例です。写真の枚数を詰め込むことより、見る順番と大きさを優先します。
| 配置のパターン | 向いている使い方 | 確認すること |
|---|---|---|
| 1ページに1枚、周囲に余白 | 作品を独立して見せる | 写真の比率と下端を揃える |
| 1ページに複数枚 | 旅の道順や作業の経過を示す | 読む順番と写真同士の間隔を揃える |
| 左右のページに各1枚 | 同じ場所の季節や視点を比べる | 色や視線の向きがぶつからないかを見る |
| 見開きに1枚 | 広い風景や章の主役を見せる | ノドとトリミングを確認する |
| 写真と文章を向かい合わせる | 撮影の背景や記録を添える | 文章が写真の鑑賞を妨げないかを見る |
たとえば旅の章なら、見開きの風景で場所を伝え、次に余白付きの作品、その後に道中の小さな写真を並べます。全ページを違う形にせず、同じ役割には同じ配置を使います。写真の順番そのものは並べ方と構成で考えます。
キャプションの位置は本全体で揃える
キャプションは、撮影地や日付などを伝える短い説明文です。写真の下、ページの外側、巻末の一覧など、先に置き場所を決めます。複数枚を載せるページでは、どの写真の説明か迷わないように、並び順や対応する番号を揃えます。
写真の上に文字を重ねる場合は、明暗が入り交じる場所を避けます。画面では読めても、印刷すると文字が背景に埋もれる場合があります。短い説明を無理に小さくせず、余白へ移す案も試してください。長い撮影記は別の文章ページへ分けると、写真を大きく保てます。
レイアウトの依頼にはページ割表と配置図を添える
お手軽出版では、完全データ原稿=レイアウトまで終わったデータ。完全データ原稿以外=写真とレイアウト図を送り、運営会社がレイアウトするという区分です。写真を選んだだけの状態と、印刷用の配置まで終えた状態を区別して、見積もりを依頼します。
同社の案内は「ページの順番やレイアウトを指示するページ割表(テンプレートあり)と、文字を入れる場合はレイアウト図を一緒に送る」です。ページ割表は、各ページに何を載せるかを示す一覧です。ファイル名、掲載ページ、配置のパターン、説明文を対応させ、「写真全体を残す」「左右を切り取ってよい」といった希望も添えます。テンプレートは写真集の作り方で確認できます。
最初に代表的な紙面を確認してから、全体の作業へ進む段取りを相談すると、認識の違いに気づきやすくなります。入稿前にはチェックリストで、塗り足し、ノド、写真と説明文の対応を見直しましょう。