
この記事の要点
古い写真は、原本を整理してから本に載せる大きさでスキャン条件を決めます。プリントだけでなく裏面やアルバムの記録も保存しましょう。拡大すると必要な読み取り解像度も高くなります。
プリント・ネガ・ポジとアルバムを先に整理します
古い写真は、紙のプリント、ネガフィルム、ポジフィルムのどの状態でも写真集の材料になります。ネガは明暗や色が反転して見えるフィルム、ポジは光を通すと撮影した色や明暗に近く見えるフィルムです。同じ写真のフィルムとプリントがあれば、両方を残して状態を比べます。
最初に写真へ管理番号を付け、年代や場所、写っている人を分かる範囲で記録します。分からない日付は推測を断定せず、「年代不詳」「家族の記憶では春頃」のように、分かっていることと聞き取ったことを区別してください。
アルバムは、写真の並びや台紙の文字にも意味があります。写真を外す前にページ全体を記録し、配置と説明を保存します。貼り付いた写真を無理にはがすと傷めるおそれがあるため、そのまま複写する方法や、原本の状態に合う扱いを相談しましょう。
スキャン解像度は掲載する大きさと拡大率で決めます
スキャンは、原本を読み取って画像データにする作業です。必要な画素数は、元の寸法mm × 拡大率 ÷ 25.4 × 掲載時のppiで求めます。原本の縦横を何倍にするかが拡大率です。2倍とは面積ではなく、各辺の長さを2倍にすることです。
スキャナーの読み取り密度は一般にdpiで表示されます。必要な読み取り密度は、掲載時のppiに拡大率を掛けた値が目安です。L判89×127mmの写真を、各辺2倍の178×254mmにして350ppiで載せる例を計算します。
| 項目 | 計算・結果 |
|---|---|
| 原本の大きさ | 89×127mm |
| 掲載する大きさ | 89×2、127×2 → 178×254mm |
| 掲載時350ppiに必要な読み取り密度 | 350×2 → 700dpi相当 |
| 必要な画素数 | 178÷25.4×350、254÷25.4×350 → 2453×3500px以上 |
| 600dpiで読み取り、各辺2倍で使う場合 | 600÷2 → 掲載時300ppi相当 |
必要な画素数は各辺で切り上げています。この条件で350ppiを確保するには700dpi相当が必要です。600dpiでも一般的な300ppiの目安には届きますが、350ppiの条件を満たすとはいえません。機械に700dpiの設定がなければ、それ以上の対応設定を選び、実際に書き出された画素数も確認します。
お手軽出版の目安は「印刷に適した解像度は350dpiが目安(運営会社の説明)。自分でスキャンするときも、使う大きさで350dpiになるようにする」です。余白を切り取る場合は、残った写真部分の寸法と画素数で計算し直してください。後から補間で増やした画素数と、原本から実際に読み取った細部も区別します。
プリントとフィルムでは使うスキャナーが違います
フラットベッドスキャナーは、ガラス面に原稿を置いて読み取る機械です。紙のプリントや平らな原稿に向きます。フィルムを読むには透過光、つまり原稿を通る光で読み取る機能が必要で、紙用の機械でそのまま読めるとは限りません。
フィルムスキャナーは、小さなフィルムから細部を取り出すための機械です。対応するフィルムの形やホルダーを確認します。原本が小さいほど、本に載せる際の拡大率は大きくなります。プリント用の設定をそのまま使わず、掲載寸法と必要な画素数を先に伝えましょう。
機械の仕様では、実際に読み取る光学解像度と、計算で画像を拡大した解像度を区別します。高い数値だけで原本の細部が増えるわけではありません。まず代表的な写真を読み取り、ピント、粒状感、暗部のつぶれを見てから作業を進めると、やり直しを減らせます。
スマホの複写は反射・ゆがみ・ピントを点検します
スマホでプリントを撮り直す方法は、候補整理やアルバム全体の記録に使えます。ただし光沢面の反射、自分の影、斜めから撮ったゆがみが写り込みやすくなります。中央は鮮明でも端がぼやけることもあります。
原本とカメラを平行にし、全体に光が回る状態で撮ります。ガラス越しや保護フィルム越しの複写は、反射や汚れも記録されます。大きく掲載する候補は、スマホの小さい画面だけで決めず、パソコンで四隅まで確認してください。
本の見開きに使う写真や細かな書き込みは、スキャンや専門の複写を依頼することも考えます。スマホ複写とスキャンのどちらが適するかは、原本の状態と、写真集で必要な大きさから判断します。
退色や傷を直す前に裏面の書き込みも保存します
色あせた写真は、明るさや色の偏りを調整すると見やすくなることがあります。ただし、失われた色や細部を正確に再現できるとは限りません。傷のない同時期の写真があれば参考にし、補正前のスキャン画像も残します。
プリントの裏には、日付、名前、場所、撮影者のメモがあることがあります。表と裏を同じ管理番号で対応させ、「023_表」「023_裏」のように保存します。アルバムの書き込みも別に読み取り、文字が読めない箇所は不明と記録します。
傷の除去と、人物や背景を推測して描き足す加工は区別してください。記録の内容を変える加工は本の中でも明記します。古い色合いや縁の傷を、その写真の来歴として残す方法もあります。補正とレタッチで、残す部分と直す部分を整理できます。
スキャン依頼は原本の種類・枚数・掲載寸法を伝えます
お手軽出版では、ネガ・ポジ・プリントのスキャンに対応しています。写真・原画・印刷物のスキャン料金は、次のとおりです。
| 原稿サイズ | 1枚あたりの料金(税込) |
|---|---|
| A5以下 | カラー 1,100円・モノクロ 880円 |
| A4以下 | カラー 1,650円・モノクロ 1,100円 |
| A3以下 | カラー 2,200円・モノクロ 1,650円 |
写真・原画・印刷物のスキャン1枚あたり(税込)。印刷用に色も補正する。A3を超えるものは相談。凹凸のある作品は使えない場合がある。高度な色補正には追加費用がかかることがある。この表をフィルム1コマの料金には当てはめず、フィルムの状態と種類を伝えて問い合わせます。アルバムから外せない写真も、現物の状態を説明して相談してください。
送付前には原本の一覧と手元の控えを作り、返却方法も確認します。「管理番号023、本文に縦位置で大きく掲載、裏の日付をキャプションへ使用」のように伝えると、読み取りと編集の目的を共有できます。写真の渡し方へ進み、写真と説明が対応する形で準備しましょう。