パソコンで風景写真の色を調整する手元と色見本(イメージ)
イメージ(AI生成)。実際の制作例ではありません

この記事の要点

補正は、写真の意図と細部が伝わる範囲で進めます。元データを保存し、入稿用は別に書き出しましょう。白飛び・黒つぶれ・不自然な彩度を点検し、人物や記録写真では加工の意味にも注意します。

補正の前に元データと作品の意図を残します

補正は、明るさや色の偏りを整える作業です。レタッチは、ゴミ取りなど部分的な修整も含む言葉として使われます。作業の前に「夕方の静けさを残す」「人物の表情を見せる」といった狙いを短く書き、何を直すかを決めましょう。すべての写真を同じ明るさにする必要はありません。

撮影した元データは、そのまま保管します。編集ソフトで調整を戻せる場合も、元ファイルを別の保存先に複製しておくと安心です。作業用データと入稿用の書き出しを分け、採用しなかった補正が最終版に混ざらないようにします。

例えば、元データのフォルダー、調整中のフォルダー、入稿用のフォルダーを用意します。入稿用には採用した版だけを入れ、「012_海辺.jpg」のように掲載順と結び付けます。JPEGを何度も開いて再保存すると、圧縮による劣化が積み重なることがあるため、調整は作業用から行います。

明るさ・コントラスト・白の色を順に整えます

明るさを変えるときは、主役が見えるかと、明るい部分の模様が残るかを一緒に見ます。顔を明るくした結果、白い服や空の雲が消えていないか確かめてください。暗い写真の良さを生かすなら、全体を明るくする前に、必要な部分だけの調整を考えます。

コントラストは明暗の差です。強めると輪郭や立体感が出る一方、明るい側と暗い側の細かな濃淡が失われやすくなります。写真を小さく表示して印象を見た後、拡大表示でも肌、髪、木の葉などを点検します。数値は写真ごとに変え、同じ設定を全画像へ無条件に使わないでください。

ホワイトバランスは、光による青みや黄みを調整し、白や灰色の見え方を整える設定です。白い物を手がかりにできますが、夕焼けに照らされた白を真っ白にすると、その場の暖かさが薄れます。色の偏りを直す目的と、撮影時の光を残す目的を区別しましょう。

傾きとトリミングは掲載位置を想定して決めます

水平線や建物の傾きが意図しないものなら、回転して整えます。回転すると四隅に余白ができるので、その分を切り取る必要があります。先に大きくトリミングすると、後で傾きを直す余地がなくなることがあります。

トリミングでは、主役の顔や足先、視線の先の余白を見ます。単体でよい構図でも、本の見開き中央や裁ち落とし部分に主役がかかると見えにくくなります。どこまで切ってよいか、レイアウトをする人と共有してください。

画像の縦横を別々に引き伸ばして、紙の形に合わせることは避けます。人物の顔や建物の形が変わるためです。切り取る範囲を調整するか、余白を設けます。残った画素数で解像度を確認し、写真を載せる大きさを決めましょう。

ゴミ取りとノイズ低減は細部を残して行います

センサーやスキャン時のほこりが原因の点は、周囲の模様を見ながら取り除きます。似た模様を複製する修整では、雲や葉の形が不自然に繰り返されていないか注意します。傷と、もともと写っていた線を見分けられないときは、原本も見て判断します。

ノイズは、暗い部分などに見えるざらつきや色の斑点です。低減処理を強めると滑らかになりますが、髪や毛並み、布の質感まで溶けたように見えることがあります。輪郭を強調するシャープ処理も、縁に白い線が出るほど強くしないようにします。

お手軽出版には画像加工のオプションがあります。依頼するときは、対象ファイルと修整箇所を示した指示用の複製を添えます。入稿用の写真そのものに丸や文字を書き込まず、残したい粒状感や傷も伝えると判断しやすくなります。

やりすぎのサインは白飛び・黒つぶれ・不自然な彩度です

白飛びは明るい部分の濃淡が失われ、白く一様になる状態です。黒つぶれは暗い部分の違いが失われ、黒い塊のようになる状態です。撮影時に失われた情報は、後の補正で戻せない場合があります。編集前後を切り替え、変化を確認しましょう。

見る場所やりすぎのサイン見直す方向
雲や白い服模様やしわが消えた明るい部分の調整を弱める
髪や黒い衣服輪郭以外が一つの黒になった暗い部分やコントラストを見直す
肌や花、草木赤や緑だけが浮き、色の差が乏しい彩度を下げて元画像と比べる
毛並みや布表面がのっぺりしたノイズ低減や部分修整を弱める

印刷は画面より暗く見えやすいため、画面だけで完成とせず、色校正で点検します。一律に明るさを上乗せするより、同じ紙で暗部の見え方を確認するほうが調整の根拠になります。隣のページと肌の色が急に変わらないかも見てください。

人物と記録写真は加工後の意味まで確かめます

人物の肌や体形を変える加工は、本人の受け止め方にも関わります。掲載する写真と加工の程度を本人と共有し、本人らしい表情や特徴を残します。家族写真でも、傷あとや顔立ちを制作者の判断だけで消さないようにしましょう。

地域の記録や出来事を伝える写真で、人・物・看板を消したり、空を差し替えたりすると、読者が事実として受け取る内容が変わります。事実を変える加工をした場合は、キャプションなどに明記します。例えば「空を別の日の写真と合成」「背景の人物を除去」のように、何を変えたかを書きます。

復元のために推測して補った箇所も、元から写っていた事実と区別します。元画像、加工内容、入稿版を対応させて保存し、後から説明できる形で写真集にまとめてください。

出典・参考

印刷サイズとデータを確かめる

掲載する大きさに画素数が足りるか計算し、入稿の準備を進めましょう。