
この記事の要点
紙は写真の色、黒の深さ、光の反射、ページのめくりやすさを変えます。光沢の好みだけで決めず、代表写真を印刷した見本と、紙の厚さや裏写りを確かめて選びましょう。
写真集の紙は色と手触りの両方で選びます
同じ写真でも、紙の白さ、表面の滑らかさ、光沢で見え方が変わります。色をくっきり見せたいか、柔らかな印象にしたいかを考え、写真のテーマに合う候補を絞ります。紙自体の風合いを楽しむことも、本の表現の一部です。
用紙は「高級そう」という印象だけで決めず、写真がどう見えるかを基準にします。光沢があると照明が反射することがあり、ざらつきのある紙では細部が穏やかに見える場合があります。読む場所や、文章と写真の割合も合わせて考えましょう。
本文用紙と表紙用紙は役割が異なります。本文は連続してめくり、写真を見比べる場所です。表紙の加工見本が気に入っても、同じ印象が本文で得られるとは限りません。まず本文の代表写真に合う紙を見て、装丁との組み合わせを決めます。
コート・マット・上質・ラフな紙で何が違いますか
塗工紙は、表面に塗料を塗って印刷適性を整えた紙です。コート紙とマットコート紙はその仲間です。次は一般的な傾向で、同じ種類でも銘柄や印刷方式によって見え方は変わります。
| 紙の種類 | 写真の見え方の傾向 | 見本で見るところ |
|---|---|---|
| コート紙(光沢) | 色や細部がくっきり見えやすい | 照明の反射、暗部の濃淡 |
| マットコート紙 | 紙面の光沢を抑え、落ち着いた印象にしやすい | 印刷部分の光沢、黒の深さ |
| 上質紙 | 塗工していない紙。色や輪郭が柔らかく見える傾向 | 細部、色の沈み、紙の白さ |
| ラフな紙 | 表面の凹凸や風合いが写真の印象に加わる | 淡い色の再現、むら、手触り |
「ラフな紙」は表面の風合いを表す広い言い方で、すべてが同じ性質ではありません。マットな紙も、どの部分にも光沢が出ないとは限りません。白紙の状態と、写真が印刷された部分を分けて見てください。
例えば、街の夜景を細部まで見せたいならコート紙とマットコート紙を比較します。古い家族写真を柔らかくまとめたいなら、紙の色や風合いも候補の基準になります。ただし、柔らかさを出すために暗部が見えなくなっていないか確認しましょう。
厚さは裏写りと本全体の重さで考えます
薄い紙では、裏面の写真や文字が透けて見えやすいことがあります。特に、一方が白い余白の多いページで、裏側に濃い写真がある組み合わせは確認したい箇所です。厚い紙を選べば必ず透けないというわけでもなく、紙の不透明さも関わります。
裏面が透けて見えることと、インクが裏へ染みることは別の現象です。「裏写りが気になる」と相談するときは、白い部分に裏の写真が見えるのか、紙そのものに色が染みているのかを見本で示すと伝わります。
厚い紙はしっかりした手触りになる一方、本が重くなり、ページの曲がり方も変わります。ページ数が多い場合は、背幅や開きやすさへの影響も見ます。紙の見本を単独で触るだけでなく、希望に近い厚さの本も開いてみましょう。
用紙の「kg」は、決められた原紙寸法で一定枚数をまとめた重さを表す表示です。1冊の重さや紙の厚さそのものではありません。銘柄や原紙の条件が違う紙を、kgの大小だけで比較しないようにします。
モノクロ写真は黒と中間の灰色を見比べます
モノクロ写真では、紙の白が明るい部分の印象に直結します。黒が深く見えるかだけでなく、髪や影の中の濃淡、曇り空の灰色の違いが分かるかを見ます。紙の色が暖かければ、同じ黒でも写真全体が暖かく感じられることがあります。
輪郭やコントラストを生かすなら光沢のある紙も、柔らかな階調を見せるならマットな紙も候補です。特定の紙がモノクロ写真の正解ということではありません。人物の肌、細かな建物、暗い風景など、性質の異なる写真を並べて比べましょう。
カラー写真をモノクロへ変えると、色の違いで区別できた物が似た灰色になることがあります。紙を変える前に、元画像の明暗の分かれ方を点検します。データの作り方と黒1色で刷る場合の注意は、印刷方式でも説明しています。
お手軽出版の用紙は銘柄と重さの表示を確認します
お手軽出版では、写真集によく使う紙としてコート紙とミューマットを案内しています。ミューマットはマットコート紙です。本文用紙の説明には、白色度が高く光沢を抑えた、かさ高微塗工紙のb7トラネクストもあります。「かさ高」は厚みを出しやすい紙、「微塗工」は表面の塗料が少ない紙を指します。
絵・写真中心の自動見積もりには、コート紙110kg・135kg、ミューマット110kg・135kg、b7トラネクスト86kg・99kg(自動見積もりの選択肢)があります。表の一般的な紙の分類と、同社で選べる銘柄は分けて確認してください。上質紙やラフな紙を希望する場合も、使える紙と印刷条件を具体的に相談します。
候補を変えるときは、紙だけでなくページ数や製本との組み合わせで見積もりを取り直します。同じkg表示でも厚さや手触りが異なる場合があるので、紙名を省略せず記録しておくと、後の確認に役立ちます。
資料請求で紙見本を取り寄せ、同じ光で比べます
お手軽出版は「紙の見本は資料請求で送られる資料に同封される」と案内しています。資料請求で見本を取り寄せ、候補の紙を同じ照明の下に並べてください。画面に表示された紙の写真だけでは、反射や手触りは判断できません。
- 白紙の白さと、斜めにしたときの反射を見ます。
- 印刷された写真の肌、空、暗い部分を比べます。
- 裏に濃い写真があるページで、透け方を見ます。
- 実際にめくり、曲がり方や指に触れる感触を確かめます。
白紙の見本は紙自体の比較に、印刷見本は発色や階調の比較に使います。気に入った見本の紙名と印刷方式を記録し、選んだ紙で色校正できるか相談しましょう。判型と製本も合わせて検討すると、本になったときの姿を考えやすくなります。