大きさの違う写真集の見本と、トンボや色見本の付いた校正刷り(イメージ)
イメージ(AI生成)。実際の制作例ではありません

この記事の要点

印刷方式は必要部数、色の狙い、紙、製本を合わせて選びます。少部数にはオンデマンドが向く傾向がありますが、写真の再現は実物で確認します。代表写真の色校正まで含めて比較しましょう。

印刷方式はオフセットとオンデマンドを比べます

オフセット印刷は、版に付けたインクをいったんゴムの胴へ移し、紙に転写する方式です。版を作り、印刷機を調整する準備が必要です。まとまった部数を刷ると、準備費を多くの本に分けられるため、1冊あたりの費用を抑えやすくなります。

オンデマンド印刷は、必要な部数をデジタルの印刷機で刷る方法です。オフセットのような刷版を作らず、データから出力するため、少部数の制作に向く傾向があります。トナーやインクジェットなど機械の種類があり、光沢や紙との相性も異なります。

比べる点オフセット印刷オンデマンド印刷
準備版の製作や印刷機の調整が必要刷版を作らずデータから出力
部数と費用部数が増えると単価を抑えやすい少部数で初期費用を抑えやすい
色の見え方インク・紙・印刷条件で変わる機械・出力材料・紙で変わる
紙と製本希望の組み合わせで対応を確認対応する用紙や製本に制約がある場合も

どの部数から安くなるかは、判型、ページ数、カラーの範囲などで変わります。「この部数なら必ずこちら」と決めず、同じ仕様で見積もりを比較します。まず配り先と必要部数を考え、単価を下げるためだけに余分な本を増やさないようにしましょう。

色と費用は実際の紙・部数・製本をそろえて判断します

オンデマンドは少部数向けだから写真に使えない、とはいえません。オフセットも方式名だけで、意図した色が自動的に得られるわけではありません。肌の滑らかさ、空の色のつながり、暗部の細部など、見せたい部分を実際の見本で比べます。

例えば、仲間へ配る風景写真集なら、必要部数で作る費用と、好みの紙を選べるかを先に比べます。写真展に合わせた作品集なら、納期、会場で見せる写真の色、開きやすさまで条件をそろえます。確認用の見本が本番と同じ機械・紙で出力されたものかも聞いてください。

お手軽出版は「オフセット印刷と、少部数向けのオンデマンド印刷から選べる」と案内しています。制作の下限は「最少16ページ・10部から(10部単位。オフセット印刷は30部から)」です。選べる製本も印刷方式と関係し、糸かがり綴じや手帳製本はオンデマンド印刷には対応していません。希望の紙や製本を先に伝え、組み合わせを確認します。

網点とスクリーン線数は細かな濃淡を作る仕組みです

網点は、印刷で濃淡を表す小さな点です。規則的に点を並べ、点の大きさを変える方法はAMスクリーニングと呼ばれます。写真の明るい部分は小さい点、暗い部分は大きい点というように、紙を覆う割合を変えて濃さを表します。

この規則的な網点が1インチの幅に何列並ぶかを表すのがスクリーン線数で、単位はlpiです。画像の画素密度であるppiや、印刷機の出力解像度であるdpiとは別の数値です。線数が高いほど点の並びは細かくなりますが、用紙や印刷条件に合うかも関わります。

FMスクリーニングは、細かな点の分布や密度で濃淡を表す方法です。AMとFMの特徴を組み合わせる方法もあります。網点の細かさだけで、鮮やかさや細部の再現すべてが決まるわけではありません。入稿画像のピントや画素数が足りない場合は、印刷側の設定を変えても失われた細部は戻りません。

読者が判断する際は、線数を単独で比べるより、空の滑らかな変化、細かな布地、明るい雲、暗い森を見ます。細かい模様に意図しない縞が出ていないかも点検しましょう。解像度の記事と合わせて、画像側と印刷側の役割を分けて考えます。

モノクロはグレースケールと黒1色の印刷を区別します

グレースケールは、白から黒までの明るさの段階で画像を表すデータの形式です。黒1色で刷るというのは、使うインクについての指定です。画面で白黒に見える写真でも、RGBやCMYKの色情報を持っていることがあります。見た目が白黒というだけで、黒1色の印刷用データになったとは限りません。

黒1色では、紙の白と黒インクの濃淡で写真を表します。紙の白さや表面、黒の濃さによって印象が変わります。CMYKの複数のインクでモノクロの見た目を作る場合は、色のバランスによって灰色に色味が付くことがあります。どの仕上げを求めるかを依頼先へ伝えます。

カラーから変換する写真は、色の違いが明暗の違いとして残るかを確認します。例えば赤い花と緑の葉は、カラーでは区別できても、変換後に似た濃さになることがあります。全体のコントラストを強める前に、主役と背景の分かれ方を見てください。

お手軽出版の本文カラーは、モノクロ・フルカラー・一部ページのみカラーから選べます。黒1色で刷りたい場合はその希望と入稿形式を確認します。写真ごとの色味や黒の深さをそろえるため、代表写真を使った紙の確認が役立ちます。

広演色・高精細印刷は広い色域と細部の表現を検討できます

色域は、印刷で表せる色の範囲です。広色域の印刷は、通常の印刷では出しにくい色も再現しやすくする考え方です。お手軽出版の現行オプションは広演色・高精細印刷です。Kaleidoインキと、AM・FMの特徴を組み合わせるハイブリッドスクリーニングを使います。

同社は、このオプションではRGBの画像を送ることと、本色校を追加することを案内しています。画面の全色が再現できるという保証ではないため、鮮やかな青や紫を含む写真など、気になる画像を示して相談します。希望する印刷方式との組み合わせと費用も、見積もりで確認してください。

落ち着いた色を求める作品では、通常印刷のほうが意図に合う場合もあります。色の狙いを共有してから選び、オプション名だけで写真集全体の仕上がりを決めないようにしましょう。

色校正には仕上がりが気になる代表写真を選びます

色校正では、印刷前に紙に出した写真を確認します。写真集全体から、肌、鮮やかな色、暗い部分、淡い階調、モノクロなど、異なる特徴を持つ画像を選びます。表紙だけでなく、本文用紙で見たい写真も伝えてください。

代表写真の例確かめたい点
人物肌の赤み、顔の明るさ、髪の濃淡
夜景暗い建物や空に細部が残るか
花や夕景鮮やかな色と周囲の色の違い
モノクロの風景白から灰色、黒へのつながり

校正方法によっては本番とは別の紙や機械を使います。何を確認できる見本なのかを聞き、同じ照明の下で見比べます。詳しい種類と料金例は色の合わせ方と色校正へ進み、印刷費に校正費も含めて計画しましょう。

出典・参考

紙と印刷の見本を見ながら決める

写真の色と紙の質感は、実物で比べてみましょう。資料には紙見本も同封されます。